ダナン出身二人の男が作り出す新進気鋭ブランド T.BROS

くりたです。

前回の投稿に続いて、ベトナム高級チョコレート紹介続きます。

T.BROS(ティー ブロス)は、2016年に立ち上がった比較的新しいブランドです。
ベトナム中部ダナン出身のトンさんとタンさんという名前の頭文字にTを持つ二人の男性が立ち上げたから、この名前なのだそうです。

現在ホームページはメインバーだけが英語で、本文はまだベトナム語のみ、Facebookのアカウントもあるけれど2018年で止まっているというあたりにも他のブランドと違ってまだまだチョコレートを作るだけで精一杯で手が足りないのかなという初々しさが感じられますね。
でもチョコレートの実力は確かで、ベトナム全土の主要観光地にはたくさん取扱店があるようです。

カカオはメコンデルタを中心に三ヶ所で作っていて、シグネチャーはもちろんシングルオリジン のダークチョコレートですが、前回紹介したマルゥやアルヴィラがカカオ85%、100%などものすごくハードな割合のものを作っているのに対して、T.BROSは70%が最高なのでベトナムチョコの中では比較的穏やかなフレーバーのチョコレート作りをしていると言えそうです。

私は今回はシングルオリジン のものではなく、他にはないと思ったフレーバーをチョイス。

ローズマリー風味のチョコレートなんて、なかなかないですよね。
カカオ70%ということも関係しているのか、マルゥやアルヴィアに比べると香りの強さは弱いですが充分に芳しく、ほんのりと最後の方に草っぽい香りがするのはローズマリーゆえですね、きっと。食べてみると柔らかい味わいでスッと舌先にハーブの香りが抜けて爽やか。すっきりしたチョコレートです。
それほど強烈な味わいではないし、言わなければそこまでローズマリーの風味が強くないのでとても食べやすい。一緒に試食した友人は「これが一番好き。」と言っていました。
次回渡越の際には、ぜひシングルオリジン のシリーズにも挑戦してみようと思います。

こちらもパッケージはシルクスクリーンですね。さらにこれはシールが貼られています。
フレーバーチョコレートのシリーズのパッケージはカカオ豆がアレンジされたデザインで、素朴なかわいらしさがあります。

ちなみに大きく書かれた「Sô cô la」という字はソコラ=ベトナム語でチョコレートという意味です。ベトナムはフランスの植民地だったので、コーヒーはカフェ、女性を呼ぶときは「マダーム」などなどフランス語由来でベトナム語に定着したことばがたくさんあります。
ソコラもフランスのショコラがベトナム語に変化した言葉で、ちょっと面白いです。

豊富な種類がポイント!カラフルで楽しいPheva

Pheva(フェヴァ)もT.BROSと同じくダナンのチョコレートブランドです。
空港にこそ置いていませんが、ベトナムではマルゥに次ぐ有名チョコレートブランドらしいです。

こちらの特徴はとにかくチョコレートもパッケージも種類が豊富で、自分で自由に組み合わせる楽しみがあること。まずはホーチミンの高島屋にあるお店の写真を見てください。

遠くからでも目を引くカラフルさです。
チョコレートは18種類あるフレーバーのすべてがミニサイズの板チョコで、お客さんが好きなように詰め合わせるという方式。チョコレートの包み紙が種類別でカラフルなのはもちろん、詰め合わせるカラフルな箱がこの写真の上段にずらりと並んでいて、6個、12個、18個など自分が欲しい大きさと色を選ぶという、ユニークな方式です。購入した箱に合わせて紙袋も同じ色のものをつけてくれるので、お土産にはうってつけ。
選択が自由自在なのでかなり迷ってしまいます。

肝心のチョコレートはもちろんこちらもシングルオリジン。Bean to barではないので自社農園ではないようですが、すべてメコンデルタのベンチェーで作られた良質なカカオを使用しています。

フレーバーはベトナム産の胡椒やジンジャー、ココナッツをはじめ、ピーナッツやピスタチオ入り、ミルクチョコレートにダークチョコレートなど。

味わいは今回試したブランドの中では一番カジュアルな印象です。際立つ香りとかシャープなカカオの味わいというよりも、万人に受け入れられやすいくせのないおいしさ。

他のブランドだと味も香りもエッジが相当効いているので、チョコレート好きの方には愛されると思いますが、お土産として多くの人に配るような場合は、こちらの方が好き嫌いがなさそうで良いかもしれません。

価格も高級チョコレートとしては他のブランドの半額くらいとカジュアルなので、おしゃれ度とバリエーションを考えるとプレゼント用に相当優れたチョコレートだなあと思います。

超ど級のこだわり高級チョコレート STONEHILL

STONEHILL(ストーンヒル )はちょっとこだわりがすごいです。ベトナムチョコレートの中でも最右翼ではないでしょうか。
公式ホームページでは、そのフィロソフィーとそれに基づく生産過程がものすごいボリュームで語られています。

Been to barとは言わず、Tree to barと称していて、何が違うのかというとBeen to barはチョコレートメーカーと農園がそれぞれ独立したオーナーとして提携している場合が多いのに対して、Tree to barはカカオの生産から最終的なチョコレート製品の販売までを完全一体化していると定義しています。ベトナム随一のカカオ豆のコレクションはベトナムで主流のトリニタリオ種はもちろん、フォラステロ種も含めて50種を数え、世界のどこにもない特別なブレンドを実現していると誇っています。カカオの生産にしてもアリを使った害虫防御などで徹底して無農薬を貫き、肥料はどのようなものを配合しているか、などなどこだわりが随所に熱っぽく詳細に書かれていて、他のチョコレートブランドにはない感じです。

パッケージも非常に繊細で美しく、ひと目見てかなりのコストがかかっていることを感じさせます。

写真ではわかりにくいかもしれませんが、美しい水彩画っぽいカカオの木が描かれたオフセット印刷に、金で型押しがされています。印刷のズレも寸分もありません。
外側のパッケージをめくるとチョコレートが包まれた金紙が出てきますが、それを止める同じく金色のシールにはアリが一匹印刷されていて、これが例のカカオを害虫から守っているアリなのだとわかります。

包みを開けるとエレガントな香りが立ち昇ります。

ベトナムの高級チョコレートは傾向としては酸味の強さが感じられますが、ストーンヒル のものはわずかに酸味を感じる程度。食感もしっかりとした硬さでパキッとしていますが、粒子がとても滑らかで、食べている間にもカカオの香りが鼻腔に広がって贅沢な気分になります。

値段が実はかなり高価で、上で紹介したフェヴァは12個入りで日本円で400円弱とお手頃なんですが、ストーンヒル は40gの板チョコが日本円で600円くらいですよ・・・
今回はリサーチということで購入しましたが、前の記事でも白状したように私は無類のチョコ好きというわけではないので、このこだわりも味も相当ハイレベルなことは本当に充分理解できるし感銘を受けますが、自分のために買うことは今後あまりないかもしれません。
でもチョコレート好きの方に差し上げるには素晴らしい贈り物だと思います。
マルゥも相当素敵なパッケージですけれど、高級感ではストーンヒル に軍配があがります。
本当にきれいでエレガントで、いつまでも見飽きないです。

これからも進化を続けるであろうベトナムショコラ

3回に渡ってベトナムで台頭するチョコレートたちを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

マルゥなどは値段は高いですが、日本でも通販で入手できますし、他のブランドも相当ハイレベルでこれからも進化することが期待されるので、今の日本のチョコレートブームを見ているので、日本で購入できる機会も出てくるような気がします。

もしもあなたがチョコレートラヴァーなら、ホーチミンに行かれたときはベンタイン市場近くのVIETNEM CHOCOLATE HOUSEに行かれると良いと思います。
ここには今回紹介した全てのブランドはありませんが、今回紹介できていないその他のブランドもたくさんラインナップされて、試食までできますよ。