エナジー溢れるベトナム、ホーチミン

くりたです。
ベトナムのチョコレート紹介の続きで、今日は私が試したいくつかのブランドを紹介します。
近年のホーチミンを訪問したことがない方は、ベトナムというとベトナム戦争のイメージが残っているまだまだ発展途上の貧しい国という印象かもしれません。けれどもホーチミンは今や私が住んでいる京都よりもある意味都会です。
高層ビルが立ち並び、きらびやかなハイブランドが目抜き通りを飾っていて、人々は男性も女性もおしゃれです。高級チョコレートが観光客だけでなく、地元の人たちに愛されているのがそれほど特別ではない街に変貌し、さらに日々発展していることを感じさせるエナジーに満ちています。
では、早速そんな国で花開いている華麗なチョコレートたちをどうぞご覧ください!
それぞれパッケージに工夫が凝らされているので、こちらにも注目していきますね。
押しも押されぬベトナムショコラの顔!MAROU
まずは、ベトナム高級チョコレートの先駆者、MAROU(マルゥ)!

2011年から販売を開始して、今や空港でも手軽に買うことができるようになっています。
フランス人二人が始めたチョコレートがあるらしいとの噂を聞いたのは5、6年ほど前でしたが、元々チョコレート自体がとても大好き!というほどではなかったので、「へえ、ベトナムでチョコレートを作ろうなんていう人がいるんだ。いつか機会があれば試してみてもいいかな。」くらいに思っていましたら、あれよあれよという間にベトナムの新しいお土産の座に燦然と輝く存在となっていました。
今ではホーチミンにメゾン ド マルゥというカフェを備えたフラッグシップ店を抱えています。

写真はメゾン ド マルゥの店内でいただいたチョコレートドリンクとケーキ、クッキー。チョコレートドリンクはふわふわのホイップがおいしそうでしょう?
香りは少し酸味を感じる濃厚なカカオが立ちのぼりますが、決して甘ったるくなく、大人っぽい感じです。味わいもそれによくマッチングして、香ばしくて奥行きのある深いアロマを感じさせますが、後味はすっきり。チョコレートドリンクは最初おいしくても、途中から甘さに飽きてしまって最後まで飲み切ると舌が疲れたなと思うことがよくあるのですが、これは甘さを楽しむというよりは、カカオの味と香りをより深く楽しむために甘さが加えられているような印象で、まったくしつこくありません。本当に本気でおいしいです!また飲みたいなと思いました。

このケーキは。2020年今年の干支がねずみということで登場している干支ケーキ。ホワイトチョコにココナッツが効いた口当たりのとても軽いムースの中に、酸味のあるパッションフルーツソースが隠れています。こちらも甘すぎず、とてもバランスの取れた味わいで、見た目的には日本人の好みとはちょっと違い、ファンシー感がありますが、味は日本のお店で売られていても人気が出そうです。私も大好きな味。ねずみちゃんの前にあるチーズに見立てたものは、実はカットオレンジで、穴あきチーズに見せるためにわざわざつついて穴をつけてるんです。芸が細かいですね!実はこのケーキ、一緒にお店に入った友人の10歳の娘ちゃんと二人で半分こして食べようと言っていたのに、彼女が気に入って私は結局二口しか食べられませんでした。黒いねずみちゃんのケーキもあったので、後から考えると黒い方も頼むべきでした。無念!
マルゥのチョコレートはたくさん種類があるのですが、代表的なものはシングルオリジン のシリーズで、メコンデルタの六カ所の産地のものを取り揃えています。それぞれのカカオの特徴を生かすためにカカオマスの含有量を調整しているようですが、全体に共通するのは結構酸味の強い味。香りもパッケージを開けた瞬間にスパイシーなアロマが炸裂する感じに漂います。
カフェの奥ではスタッフが金紙に包まれたチョコレートに外側のパッケージを貼り付けていたりして、まだこういうところは機械でなく手作業なのかなーとほほえましく思いました。
パッケージはシルクスクリーンという技法で刷られた重厚感のあるシャープなグラフィック。シルクスクリーンはいわゆる版画で、一色ずつ違う版が必要なのですが、マルゥのはベースの色はそれぞれヴィヴィッドで印象的だけれど、上に載せている金色のグラフィカルな意匠は共通なので、それぞれ違う色の紙さえ用意すれば、版は金色のものと、文字のベースに引いている黒っぽいブラウンの二版で良いのです。しかも文字のベースが真っ黒でないというのも印象がきつすぎず、上品な印象を与えていて、効率的で効果的でセンスが良いなあと感心します。
カカオ農園の親娘が手掛けるALLUVIA

こちらも現在は空港で買えるALLUVIA(アルヴィア)。本当の話なのかどうか分かりませんが、メコンデルタでカカオ豆を育てていたオーナーが、自分たちの育てたカカオがどうやってチョコレートになるのか、いっちょう確かめてみっか!とフランスに渡ってチョコレート作りを始めたという逸話があるそう。
なので、当然カカオ豆の栽培からフィニッシュのチョコレート作りまでを完遂しているBeen to barです。
ブランド名のALLUVIAは、”メコンデルタの良質カカオ”という意味を込めて肥沃な大地の象徴としてのalluvium(沖積層)からつけたのではないかなあ、と勝手に想像しています。沖積層は地層の中でも新しい層でもあり、そこに新しく伸びていく会社のイメージも重ねることができますよね。
ここはマルゥとは違い、農園経営が原点ということで、メコンデルタのゴーコンで収穫されたカカオ豆にこだわっています。カカオの含有量を変えたものや、スパイスやナッツなどの入ったものを作っていて、今回私はカカオ85%のパッケージの紫色が素敵なので購入してみました。
日本のチョコレートだとカカオ85%もあると、結構舌触りというか食感がガチガチで溶けにくい感じですが、アルヴィアは違います。確かに甘さは少ないけれど、嫌な苦さはなくきりりとシャープな味わい。香りの良さはマルゥにも引けをとりません。ミルクチョコレートでさえカカオ含有率40%もあるんですよ。本当にチョコレートが好きな方も唸るおいしさだと思います。
パッケージもカカオ豆がフィーチャーされていて、「うちの売りはカカオ豆!」という心意気が伝わってきますね。これはシルクスクリーンでなく、箔押し加工かなと思いますが、金銀二色使っていて、シンプルですけれど力強くて贅沢。
むむ・・・思ったより熱が入って長くなってしまいました。
あと3ブランド紹介する予定なのですが、長大になりそうなので続きは次の記事までどうぞお楽しみに!