パッケージから楽しめる華麗なショコラたち

くりたです。
今日はレシピでなく、ベトナムのチョコレートを紹介します。
「え?ベトナムのチョコレート?そんなのおいしくないんじゃないの?」と思った方も結構おられるかもしれません。が、見てください。この華麗なパッケージの数々を。これらはすべてベトナムで作られて、売られているチョコレートの数々です。
日本でも空前のチョコレートブームが起きていますよね。
毎年バレンタインの季節に合わせて開催される東京のメゾン ド ショコラというチョコレートフェアはカタログが有料で販売され、入場するのに事前予約しないと絶対に入れない人気イベント。名だたるショコラティエはサインや写真をねだられ、もはや職人というよりセレブ扱い。売られているチョコレートの高騰ぶりも凄まじく、親指の爪くらいの大きさで1,000円近くするものも珍しくなくなってきているという、20年前は想像もできなかった状況が出現しています。
そんな中、東南アジアの経済発展著しいベトナムでは、この5、6年のうちに高級チョコレートがどんどん台頭してきているのです。
実はそんなにチョコレート好きという訳でもないのですが、先日ホーチミンに行った時にベトナムのチョコレートの進化具合があまりにすごかったので、とても無視できないなと思って数種類試してみました。
ベトナム高級チョコレートの特徴① ダークチョコレート

ベトナムの高級チョコレートの特徴をざっくりとお知らせするとこの二点。
・ダーク(ビター)チョコレート
・ベトナムで生産されたカカオ豆を使ったBeen to bar、かつシングルオリジン
ダークチョコレートは多くの方がご存知だと思いますが、カカオ含有量が40%以上あるチョコレートです。昔の日本はミルクチョコレートばかりでしたけど、この20年ほどで「チョコレート効果」などのダークチョコレートも認知度が上がってきましたね。
先日ホーチミンでみたところ、たくさん種類を揃えたブランドの中にはミルクチョコレートもラインナップに加えている場合もあるものの、ほとんどのチョコレートはカカオ60%以上で日本の一般的チョコレートよりもかなり低糖のものでした。中には一切糖分を加えない100%という過激なものまであります。
なぜダークチョコレートにこだわるのかというと、ある種のトレンドであったりそれぞれの理由があると思いますが、チョコレート伝統国のフランス、ベルギーに対して新興国としてどんな切り口で道を切り拓くか考えた末に、シンプルな戦いを挑んでいるのかな、と。
カカオ豆生産地新興国として、チョコレートの心臓部であるカカオマスの品質の高さを強調すること。
生産量上位の国は良質カカオの生産はもちろん、世間一般の駄菓子的チョコレートの原料も大量に作っています。ベトナムのカカオ豆の世界シェアはまだ1%程度。すでに確立された市場に切り込んでいくには特別なセールスポイントが必要になるでしょう。
それが次の特徴とも強い関係があると思うのです。
ベトナム高級チョコレートの特徴② シングルオリジンかつ、ベトナムで生産されたカカオ豆を使ったBeen to bar

シングルオリジンとは、一か所の産地のみで、カカオ豆の品種や生産者、カカオマスの製造方法などがある程度特定できることです。コーヒーでも近年はシングルオリジンが脚光を浴びていますよね。牛肉の個体識別番号にも共通する、要するに原料の出どころがはっきりトレースできる状態です。
原料のカカオ豆をチョコレートという製品くくりではなく、ブランド農作物として育てていく観点が意識されているのではないでしょうか。
近年はベトナム政府が国を上げて質の高い輸出用農作物を作ることを目指していて、カカオ豆もそのひとつなんです。バウムクーヘンで有名なクラブハリエなども、数年前にベトナムのカカオ豆を使ったチョコレートを限定で販売したりしていました。
ベトナムの高級チョコレートはほぼすべて、パッケージにカカオ豆の産地が書かれています。
カカオ豆というと南米やアフリカというイメージがあると思います。南米やアフリカの有名な農作物といえばコーヒーもありますが、実はベトナムはコーヒー豆の生産が世界第二位。これも日本ではそれほど知られていない事実ですが、この二つの農作物に適した気候がベトナムにもあるんです。
メコンデルタの肥沃な土壌と、最近の地産地消やフェアトレード、エコロジー等々の概念と結びついて、オーナーがフランス人であったり、ベトナム人の家族経営であったりといろいろですが、豆の生産からチョコレート作りと販売までを一貫して手がけるBean to barという手法の会社が次々にできています。
ベトナムの高級チョコレートがダークチョコレート中心であることと、シングルオリジンとBeen to barであることは、すべてベトナムのチョコレートをブランドとして確立させようというさまざまな人の想いがより合わさっての結果なんですね。
次回は具体的にベトナムチョコレートの紹介をしようと思います。