実は100年もの歴史がある台湾紅茶
自宅ごはんを中心に、まあまあ幅広いトピックを扱うくりたです。

ここ数年の台湾ブームはすごくて目を見張るものがありますね。
かくいう私もこの7年ほどで台湾には合計15回以上は行ったかと思います。なぜ7年かというと、今や関西空港のLCCの代表格であるピーチアビエーションが台北へ就航開始してからすぐに乗りだして、一番多い年は年に4回仕事でもないのに行っていました。
最初の頃は小籠包(台湾では湯包という言い方の方が一般的です)をはじめとした中華料理や中国茶を食べまくり、買い漁っていましたが、さすがにこれだけ行くとそれほど買うものもなくなってきます。で、最近行くたびに購入するものの一つが台湾紅茶です。
今年にわかに起きた第三次タピオカブームで飲んだ方も多いと思いますが、タピオカミルクティーで使われる茶葉は台湾紅茶が中心です。台湾で紅茶というとまだまだ意外に思われる方もおられますが、台湾の紅茶栽培は割に歴史があり、20世紀初頭の日本統治時代に新井耕吉郎という農業技師が紅茶に適した土地を発見し栽培を始めたと言われているので、もう1世紀近くになるんです。
お茶の国で育てられた珍しい茶葉の形
紅茶といえばダージリンやアッサム、ウバやヌワラエリアに代表されるインドやスリランカが世界を代表する産地ですが、シェアは少ないながら台湾紅茶も質の良い茶葉を生産しています。
様々な種類がありますが、最近よく買うのは台茶18号と蜜香紅茶です。
最初のお茶碗のようなカップに入っている写真は台茶18号、別名”紅玉”と呼ばれる種類です。
水色が濃く、きれいな赤っぽいオレンジ色ですね。
18号の茶葉は通常紅茶と言われて想像するのと全く違う姿をしています。

まるで長ひじきです。紅茶というと粉砕されていたり、丸まっていたりと細かくされていかにも成分が溶け出しそうな形が多いですが、こんなに長くよれた形は中国茶の茶葉も多い台湾ならでは。元々は先にも挙げた新井耕吉郎がインドのアッサム地方から持ち込んだ茶葉を、台湾の風光明媚なリゾート地であり、蒋介石の別荘があったことで知られる日月潭で育てたことにルーツを持ちます。この○○号というのは台湾の農業省が開発した農作物につける番号で、お茶以外でもよくこの方式の名前を聞きます。例えばさつまいもでは台農57号というのが有名だったりします。
台湾紅茶ならではの個性的な味わい

この紅茶はPEKOEという台湾のセレクト雑貨ショップのものです。PEKOEは台湾で有名な美食家葉怡蘭(Yilan)さんがオーナーを務めるお店で、台湾全国や世界の美味しいものや質の高い雑貨を紹介していて、台湾名産のオリジナル商品も色々出されています。
ここの紅茶はなかなか良いお値段なので、「台湾=日本より安い」というイメージだとひるんでしまうかもしれませんが、味に間違いがないのでオススメです。
パッケージも洗練されています。PEKOEだけでなく、台北旅行される方は大体訪れるであろう誠品書店という台湾のTSUTAYAのようなライフスタイル書店ともいうべきところでも大体置いているので入手しやすいです。
さて、PEKOEの台茶18号のお味はというと、結構濃厚で少しねっとりしたような甘みを感じる香りと口に含んだ瞬間ほんのりとしたスモーキーさを感じた後、飲み終えると舌の先というよりも上顎あたりにすっとミントのような清涼感を感じます。
アッサムをルーツとしているのでこの濃厚さなのかなと思いますが、こういう味はインド・スリランカ系のお茶にはない特徴でミルクと合わせるとよりコクが出る感じです。
台湾のタピオカミルクティーは色々な種類がありますが、紅茶系は台湾紅茶を使っているそうなので、台茶18号を使っているものも多そうです。
やはりお国柄というか中国茶との共通点を感じさせ、紅茶文化自体はヨーロッパが中心ではありますが、アジアの紅茶なんだなあと思います。
私はミルクティーも好きですけど、この茶葉の清涼感が結構ティーソーダに合うなと思い、夏は台湾の蜂蜜で甘さを加えて炭酸水で割って楽しんでいます。
ティーソーダはまだそんなにメジャーではない飲み物ではありますが、紅茶の面白い楽しみ方なのでよかったら試してみてください。炭酸水で割るといっても見た目で炭酸とわかるほどしゅわしゅわでなく、飲むとそれとわかるという程度が紅茶の味を損なわず楽しめるのではないかと思います。

おまけ:お茶のお供のレモンタルト
このブログは食べ歩きブログではないので、あまりレストランやデリ、カフェなどの紹介はしない方針なのですが、今回のお茶のお供にいただいたお菓子をちらりと紹介します。

京都の人気ケーキ店であるらしいロトスのレモンタルト。
ロトスは小さな小さなケーキ屋さん。数年前に惜しまれながら閉店した伝説のケーキ店オ・グルニエドールにいらしたパティシエさんで、場所が私の家の近くなので開店まもなくからお世話になっています。実はケーキ好きというわけでもないので、それまであまり自分で進んで買ったりすることは一年に一度もなかったのですが、このお店ができてからは時々ひとりで買いに行きます。ひとつだけでもお店の方が嫌な顔をせず対応していただけて、とてもありがたいです。
フランス通の友人によるとミルフィーユやモンブランの作り方など、フランスの正統派ケーキに近いらしいです。私は正統派フランスケーキがどういうものかはよく知らないのですが、今時のインスタ映えや奇をてらった組み合わせなどは確かにあまりなく、とにかく材料にこだわって丁寧に作っておられるという印象。毎日ある定番の「たまごのショートケーキ」というケーキなどは、スポンジと生クリームしかなく、「イチゴかフルーツのせ忘れはったの?」と言いたくなるようなストイックすぎる見た目で、逆にこれがおいしくないわけがないだろうという、挑戦的な気さえします。
今回ご紹介のレモンタルトもご覧のようにメレンゲをモコっとのせてありますが、昨年まではメレンゲなしのタルト生地にレモンクリームがすりきりで詰めてあるだけという、これもシンプルの極みのようなタルトでした。タルト生地も茶色、レモンクリームも茶色っぽい黄色で地味なことこの上ない。でもこのレモンクリームが、よそにはない味でとても大好きなのです。レモンカードのように、レモン果汁をこれでもかというくらいたっぷり使ってかなり酸味が効いていますが、決して顔をしかめてしまうようなとがった感じがなく、すっぱいのになめらかでねっとりと濃厚なんです。一度食べてからこの味のとりこになってしまいました。季節ものでいつでもあるという訳ではないので、一年に一度はこのタルトを食べずにはいられますまい!と意気込むお気に入りのタルトです。