自宅ごはんを中心に、まあまあ幅広いトピックを扱うくりたです。
過ぎゆく夏を見送る食事
本日のメニュー
・豚と野菜のピリ辛蒸し ・冬瓜と湯葉のお吸い物 ・魚そうめん卵黄のせ

一週間ほど前から季節が進んで風が涼しくなりました。セミの声の代わりに秋の虫の音がより大きくなってきて、夏が終わるんだなぁと感じます。
今年の夏は昨年に比べるとかなり涼しくて、猛烈に暑い日は10日ほどだったのではないでしょうか。今週からは雨が続いてこの気温と湿度というのは、秋雨というよりは梅雨のよう。今年は関西では梅雨が短かったので、天がその分の借りを返すとでも言っているようです。
スッキリしない天気なので、すっとした気分になる食べ物が恋しくなります。
鱧入り魚そうめんは京都の夏だけの風物詩

魚そうめんは京都以外ではあまり知られていない夏の練りねりもの。5月から9月の間だけ店先に並びます。京都では茨木屋とはま一というのが練りものの二大ブランドで、私はどちらの方が良いというのは特にないのですが、茨木屋の方を求める機会が多いです。いずれのお店のものでもたっぷりとお出汁が付いているのが、出汁文化の京都らしいなと思います。練りものなので何色にでもできそうなものなのですが、お店が違っても不思議と白と緑色のこの組み合わせでしか見かけません。やはり夏だけの食べ物ということで、清涼感を感じさせる色彩が伝統的なのかも。川と川べりの草か苔、浮き草の類が元々の発想でしょうか。それがたっぷりの澄んだ出汁に浮かんでいる様子は目にも納涼感が溢れます。
7月からこの時期にかけてはこちらも京都の夏の食べ物の代表選手、鱧入りが出回ります。どれくらい鱧が入っているのかはわかりませんが、気のせいか鱧入りは歯ごたえの食感の最後にきしっとした感じが残って、それが骨切りという独特の下ごしらえをする鱧ならではの雰囲気を感じさせます。
卵黄はぽこっと入れたかったけれど、割り入れる時に失敗しました・・・
やさしく、しなやかな冬瓜は雅を感じる夏野菜

汁物には冬瓜と湯葉のお吸い物を。冬瓜はあまり馴染みがなかったときは字から冬野菜なのかと思っていましたが、完全に夏しかない夏野菜ですね。瓜自体が夏野菜のですしね。なぜ冬という字が付いているのかというと、涼しいところで保管すると冬まで保つからだそうです。
すごいですね!根菜は割と貯蔵が効くものがありますが、それほど皮が厚くなくて水気たっぷりなのに何ヶ月も大丈夫とは驚きです。ただしもちろん包丁を入れる前の丸のままの状態に限ります。一旦切ると割と足が早いので急いで食べないといけません。
料理の写真では白い果肉部分だけですが、つるりとした翡翠色の楕円形の姿はどことなく雅な感じがして、そのせいかあまり味の濃くないあっさりした料理に向いていると思います。
味自体もあるのかないのか割とうっすらした感じで、ただ水分たっぷりのスイカよりもややきめ細かく柔らかなスポンジ的な食感で、平安時代からすでに食べられていたというのも何だか雅に思わせる由縁でしょうか。
巻き湯葉のふわっと、けれどもしっかりした食感と滑らかで噛むとなくなってしまうような儚い冬瓜の食感の組み合わせも好きです。とてもやさしい感じがして、食べている間は静かな時間が流れるような錯覚を起こさせます。
湯葉も冬瓜も白い食べ物なので、本当ならここに結んだ三つ葉をあしらうと、より一層清らかな料理に見えると思います。
ゴマにもひと手間。食欲をそそる濃厚な香り
魚そうめん、冬瓜と湯葉のお吸い物とあっさりはんなりなメニューでしたが、メインは割とはっきりした味の豚と野菜のピリ辛蒸しです。

ラー油で少し辛味を出していますが、とはいえ豚も野菜も蒸してあるのであっさりです。ロース肉ともやしと人参とトマト、レタスを下に敷くとこちらもさわやかな納涼感溢れる感じになりますね。味付けは簡単にポン酢とラー油のみ。ちょっとスタミナをつけてコクを出したいので、すりゴマもたっぷりまぶします。
ゴマはすりゴマとして売られているのがやはり手軽で簡単ですが、たまに炒りごまを自分ですると香りがグッと引き立って美味しさ倍増です。
炒りごまもそのまま使うのでなく、する前さっとフライパンで乾煎りしておくとすりつぶしやすい上に煎りたての香りが濃厚になって、なんとも食欲をそそるのです。
今日のように涼しいときはどんな料理でも大丈夫ですが、暑い日が続いてバテ気味で食欲がないという日は特に、香りなどでも気持ちが引き立つような料理が良いかなと思うので、ほんの少し手間をかけるという気持ちを大切にしたいものです。