自宅ごはんを中心に、まあまあ幅広いトピックを扱うくりたです。

リラックスして楽しむ、幾重にも重なるうまみのグラデーション

本日のメニュー

・ニシンの飯寿司
・きゅうりのぬか漬け
`湯葉とシイタケの炊き物
・銀ダラの西京焼パスタ、山椒風味

ここ10日間ほどあまり自炊ができず、ようやくこの2、3日で再開しはじめて、やっぱり家で食べるご飯はおいしいなあと実感しています。

もちろんプロの方々が作る手間のかかった食事は、技術的にも設備的にも自分では作れない素晴らしい料理の数々がありますが、それと家で食べるのはかなり気持ち的に違うと感じます。

ハレとケの感覚とでも言いましょうか。外食だと個室だとしてもいつもと違う空間で、友人との食事でも第三者にサービスされて、楽しくておいしくて盛り上がっても、「自分のテリトリーではない」緊張感を無意識に感じます。家にいるとレストラン風の食事を作ったとしても気持ちがリラックスというか弛緩というか、外でよりもアルコールにも酔いやすくなったり、眠くなったり、とにかく自分自身が解けてゆるくなります。何というか安心するんですね。

さらに自分で作った食べ慣れた味を楽しむと、「家にいる」という安心感が増幅してゆったりした気持ちになります。

そうすると逆に「よし。じゃあ今度はまた違った味に挑戦してみようかな。」と、料理に意欲も戻ってきます。

今日はそのようなポジティブな気持ちで、ちょっと変わったパスタを作ってみました。

おそらくどこのレストランでも出していないであろう「銀ダラの西京焼パスタ、山椒風味」。

銀ダラの西京焼を焼き上げてほぐして、今年作ったこめ油に実山椒を漬け込んで風味づけした山椒オイルをオリーブオイルの代わりに使い、仕上げに白胡椒を少しとパルミジャーノレッジャーノチーズをふりかけました。

パスタといえばオリーブオイルで和えるのが定石ですが、オリーブオイルはそのものに香りが強く、今回は山椒の香りを楽しみたかったので山椒オイルだけにしています。

ちょっと想像がつかない味かもしれませんが、西京焼は西京味噌なので発酵食品。チーズも発酵食品で経験上大体の発酵食品同士は相性が良いのです。パスタに銀ダラの西京焼とチーズをよく絡めて口に入れると、まずはちょっと刺激的なチーズの塩味とうまみ、続いて西京味噌の甘じょぱさと銀ダラのとろけるような脂と、うまみがグラデーションで広がり、最後にさわやかな山椒の香りが鼻孔に吹き抜ける、何とも複層的な味わい。これは本当においしかったです!

簡単さっぱりあっさり和のサイドディッシュ

メインがなかなかユニークなので、サイドメニューは結構簡単に。

ニシンの飯寿司は以前も優しい熟鮓、飯寿司(いずし)に想う懐かしさで紹介した北国の発酵食品です。金沢のかぶら寿司なども同じ仲間ですね。傷みやすい生魚を野菜と一緒に酢で締めて発酵させることで、独特の熟成味を醸します。私はハタハタの飯寿司が大好きなのですが、今日は鰊です。そのままで食べてもおいしいのですが、ちょっとわさび醤油をつけたりするとさらにピリッとしたよい味わいになります。今日はニシンといえば北海道!なので、最近人気上昇中の山わさび醤油でいただきました。

きゅうりのぬか漬けは、先日堺の泉州水なすのぬか漬けを買って食べたので、それに付いていた糠を再利用して漬けました。水なすのぬか漬けはなかなか高級なのですが、ぬかがたっぷり付いているので、こんな風に手軽にぬか漬けを続いてつくれるので楽しいです。

ぬか漬けは日々手入れしてあげないといけないので、私は日常的には作らないのでこうした機会に何度か楽しんで、というスタイルです。

最後は炊き物。

小巻湯葉と干ししいたけとツルムラサキ。干ししいたけは真空調理で10分くらいでさっと昆布と一緒に戻して、その出汁で炊きました。湯葉は大好きな食材で、ふんわりと優しい大豆の味わいがいつ食べてもウキウキします。小巻湯葉はバウムクーヘンのようにくるくる丸められた湯葉をそのまま噛み締めてぎゅっと出汁がでてくるのを楽しんだり、ペロペロとめくって薄くしながら食べたりと食べ方にも色々な楽しみがあります。ちょっと写真がボケてしまいごめんなさい。

つるむらさきは去年まであまり食べていませんでしたが、去年近所のみどりなすさんで求めたのがとってもおいしくて、そのおいしさに開眼してちょこちょこ買うようになりました。

火を入れるとほんのりぬめりがでて、少しだけ酸味のある味わいがおいしいです。

発酵食品オンパレード!

しかし今日のメニューはほぼ全て発酵食品が使われているということに、先ほど気がつきました。

西京味噌、チーズ、飯寿司、ぬか漬け、炊き物は出汁が今回は鰹節を使っていませんが、みりんを結構たっぷり使っています。チーズはともかく、和食ってやたらと発酵食品が多いんですね。

長寿食と言われるのも、その一因かもしれません。