良い季節の草引きは本当に楽しい

一週間って本当にすぐですね。
前の記事からもうそれだけ絶ってしまいました。職業的ブロガーではないので日々のちょっとした時間に記事を書くわけですが、この一週間は外付けHDD不調で原因を調べたり、新しいHDDを入手してデータ移行したりしている間に過ぎていってしまいました。

さて、先週末に友人のお寺に一人で草引きに行って参りました。

三宅八幡という京都市のかなり北の方にあるのですが、なかなか素敵なところでしょう。

お寺や庭園を散策に行かれる方は結構おられると思いますが、そのお手入れを体験されたことのある方は案外少ないと思います。

草引きというのは方言かな?標準語かどうかよくわかりませんが、草むしりのことです。草むしりと言うより草引きと言った方が、なんとなく情緒を感じる上品な言葉のように感じていますが、実際庭の手入れは地面に見えている草の表面だけでなく、なるべく根っこも含めて地面から引き抜くようにするので、むしるよりは、引く方が表現としても適切だと思います。

美しい庭でも観るのは一瞬ですが、それを保つのは本当に日々の積み重ねで地道な作業なんです。
雑草は苔一面の場所でも砂利でも、どこでも生えてくるし、特に今のような春から夏にかけて放置しておくとあっという間に見る影もなく無秩序状態に陥ってしまいます。

一度そうなったものを元の整然とした姿に戻すのは大変な労力が必要ですし、放置していなくても日々の手入れは欠かせません。
が、大変、大変と言うだけではなく、草引きの作業って実は案外楽しいのです。

最高のシチュエーションは雨の降った翌日です。雨が降ると地面が柔らかくなって草を根から引きやすくなります。スルッと抜けたときは小さなことですけど、爽快感があります。
今回は10分ほど休憩を入れて3時間作業しました。
写真の上下は草引き前と後です。間違い探しみたいですが、違いがわかりますでしょうか。

砂利の部分を集中的に手をつけています。下の写真の砂利にも緑の部分があるのでちゃんと引けてないのじゃないの?と思われるかもしれませんが、この部分は全て苔です。苔の間ももちろん草は生えてきているので、ピンセットを使って丁寧に余計な草だけピックアップしてとっていくのです。
そんな作業なので作業中は「ほんまにこれできれいになってるのかしらん。」と不安になる瞬間もありますが、1時間2時間経って少し離れてみると、確かにきれいになっていることがわかります。
途方もなく広いお庭であっても、やればやっただけ成果が見られるし、適当にしてしまうとやはり仕上がりが適当になってしまう、自分の仕事ぶりがかなり客観的に俯瞰できる作業です。

地べたに防水シートや段ボールを敷いて座りながら一人で黙々と進めるのですが、集中しながらも心は開かれているような感じで、瞑想とはまた違った静かな時間を楽しめます。
知り合いと一緒におしゃべりしながらも楽しいのですが、それだと繊細な自然の音は聞こえません。
一人で手だけを動かしていると、だんだん余計なことは考えなくなって、葉擦れの音や鳥の音が耳だけでなく心にも気持ちよく流れ込んでくるような清々しさがあります。
一回きりでも楽しさはありますが、一年間折に触れて同じ場所で草引きを続けると、季節の変化に直に触れられると同時に自分が手入れした場所というミクロな空間の微細な違いにも感覚が研ぎ澄まされていくのです。

道すがらにも季節を楽しめる場所がたっぷり

今は旅行やイベントには行きにくい時ですが、草引きは人とはほぼ接触しませんが、自然と濃厚に接触できる気持ちの良いとてもプライベートなレジャーだなと思います。

自宅からお寺までは鴨川(賀茂川)沿いの遊歩道を10キロほど自転車で通ります。こちらも今の季節はちょうどテイカカズラが花をつけ始めて濃厚な甘い香りが漂っていたり、ひっそりとすずらんの群生を見つけたりと楽しいんです。
近くの人たちが遊歩道のベンチでお弁当を食べたり、本を読んだり、学生サークルがダンスの練習に取り組んだり、楽器の練習をしている人がいたり。皆が思い思いにのびのびゆったりと贅沢な時を過ごしている姿を日々見かけます。
「自分はなんて贅沢で素敵な場所に住んでいるのかしら。」と思う瞬間でもあります。