私は猫ではなかった

くりたです。

故あって12月より無職になっておりまして、3ヶ月が経ちました。

大学卒業後、転職は数回しましたが常に次の勤め先が決まってからの退職だったので、こんなに長い期間仕事をしていない体験は初めてです。

最初の1、2ヶ月は諸々所用ありでしたが、この1ヶ月ほど落ち着いていると仕事に行かなくても良い気楽さはあるものの、いくつかのことに気がつきました。

当たり前なんですけど、
・人に合わない
・1日のほとんどに何かするべきことがない
これに尽きます。

今の所新型肺炎のニュースで世の中全体が停滞ムードで暗いものの、自分自身に対して不安ではないのですが、人に会わずにすべきことがあまりないという状態がはじめてで、なんだかふわふわとあるべき場所にいないような気分になります。

若い頃に長いこと無職状態にあった友人が「人はどこまでも堕ちていくでー。」と言ってましたが、確かに家族でもいればいろいろこうるさくても注意してくれたりするのでしょうが、ひとりだと本当に誰も何もコミットしてくれないので、生活がとろけだすととめどがなさそうだなと思います。

好きなときに起きて、好きなときに食べて、好きなときに遊んで、好きなときに寝る。

これって飼い猫の生活ですよね。楽そうで心地良さそうと思うこともあるのですが、残念ながら私は猫ではなかったので、これで満足という気持ちにはあまりなれませんでした。
多分性根が貴族でなく、労働者なのでしょう。

無職の時こそ自分が試されている!

元々仕事をしていた時のおやすみの日も仕事の日とさほど変わらない時間におきたりしていたので、仕事を辞めてからもものすごく不規則という訳ではありませんでしたが、5時に起きたり9時に起きたりと4、5時間の差異が生じていて、これくらいずれると何となく身体がすっきりしません。
20代の頃はお昼に起きた翌日に7時に起きたりしてもへっちゃらだったのですが、これはやはり体力の衰えかも。調整力が若い時よりなくなっているのかも知れないなと思います。

身体がすっきりしないと何となく気分もすっきりしない。なので、ついだらだらと過ごしてしまい、気がついたら夕方になっていて振り返ると一日の食事の時間もバラバラでこれといって何かしたという実感もないまま数日が過ぎる、ということが何日間か続いたところで私の中の危険信号が発動しました。

「ダメダメ!これだとなまこ人間になってしまうわ!」なまこはなまこでおいしいものですが、なまこ人間は食べることもできないただのでくの坊。しかも鮮度悪そう。
倫理的道徳的にというよりは、自分自身の快調のために規則正しい生活が必要だなと気付き、またおしゃべりな私が人と接する機会が格段に減って、全然喋ってないということは、表情筋も動かしてなくて退化して老けるわ!ということで、以下のことを自分に課しました。

・夜はなるべく日付をまたがない内に就寝する
・朝は6時台には起床
・起床したら全身軽くストレッチ
・声もウォーミングアップのため、北原白秋「五十音」で発声練習
・二日に一回は朝食後サイクリングを10km以上と簡単な筋トレサーキット

仕事をしていてもこなせそうなメニューではありますが、何もしなくても誰も何も言わないという状況で続けるのは、ちょっとしたリズムを身体に覚えさせないといけないので、とりあえず一週間は面倒だなと思っても規則だと思ってとにかくやります。
北原白秋の「五十音」とは演劇部をかじったことのある人は恐らく全員記憶にある有名な発声練習に使われる「あめんぼ赤いなあいうえお」から始まる文字通り五十音を軽快に折込んだとても楽しいよくできた詩です。これを朝イチで連続二回くらい大きな声で唱えると、それだけで一日元気に送れそうな気がしてくるやる気スイッチのようなものを感じるので、ご興味のある方にはぜひ試してみてもらいたいです。
そんな楽しいメニューも取り入れつつ毎日続けていくと、段々何も考えなくても朝起きて水を飲んで用を足すくらいの感じでできてくるし、やり終えた後は何となく身体と頭がすっきりしてくるということを発見しました。

習慣の自主的実行が良い流れを呼び込む!かも知れない

習慣って偉大。

と思うと同時に、私自身自分で思っているよりもまともな人間だったのかも知れないという自信すらついてきました。で、自信がついてくるとやる気も出るというもの。

停滞していたブログもこのように毎日ではないにしても復活することができました!まあ、そんなに読んでる人はいないのですが、それ自体はそれほど問題ではない。続けたときに足跡が残っているということが大切なのですよね。昨年中断の後の最初の投稿で高村光太郎「道程」を載せましたが、そんな感じですね。この詩は実にすばらしいと思っているので、もう一度載せます。

道程         高村光太郎

僕の前に道はない

僕の後ろに道は出来る

ああ、自然よ

父よ

僕を一人立ちにさせた偉大な父よ

僕から目を離さないで守ることをせよ

常に父の気魄を僕に充たせよ

この遠い道程のため

この遠い道程のため