自宅ごはんを中心に、まあまあ幅広いトピックを扱うくりたです。

夏野菜が八百屋の店頭を彩る季節がやってきた

本日のメニュー

・生麩の素揚げ
・出し巻き
・カブとトマト、ブロッコリーのフレッシュサラダ、味噌ドレッシング

だんだん献立が夏っぽくなってきました。

露地物のトマト、モロッコいんげんなどの夏野菜がが八百屋さんの店頭に並ぶようになり、夏が近づいていることを感じさせます。

日本には四季があるのは自明の理ですが、最近は昔の暮らしを見つめ直そうという気運もあって四季をさらに細かく分けた二十四節季という言葉もちらほら見かけるようになりました。

私も二十四節季について意識したのはつい昨年ですが、これを知ることで日本の気候が二十四節季の生まれた時代とはずれてきていることを感じます。

今は夏至なので、一年で最も長い昼間になるという天体による現象は今の所昔どおりですが、その前後の芒種や少暑などは数週間ほどずれている気がします。主には暑い日々が続くことでの体感と節季の示すところのずれなのですが。

昔ながらのトマトは今の季節の醍醐味

夏野菜の代表選手であるトマトは、近年はトマトブームというのか一昔前とは比べならないほどたくさんの種類が出回っていますよね。色もカラフルでトマト=赤という時代から、黄色、緑、果ては黒まで独創的な色彩のものがあり、味はフルーツトマトに代表されるような皮が少し硬めだけれど、糖度がとても高いものが人気のようです。

私は静岡県の誇るブランドトマト、アメーラがとても好きなのですが、これは従来のトマトとは全く違う味わいです。

けれどもやはり酸味があり、ほんのりとした甘みと野菜ならではの青臭さのある味も忘れがたく、こうした昔ながらのトマトは、今では露地物でないとなかなか食べられなくなりました。

このサラダでは昔ながらの露地トマトを生かして、他はなるべく穏やかな食味の野菜をあわせています。青じそも年中ある薬味ですが、旬は今から夏にかけて。びっくりするくらい景気良く育つので、どんどん食べて爽やかな味わいを満喫したいものです。

ドレッシングは今日は和風ということで、八丁味噌を使ったノンオイルというよりは味噌だれをかけています。トマトの味噌汁が美味しいという人もいるくらい、実はトマトとお味噌も相性は良いのです。

どんな調理法でも味付けでも、あなた色に染まるしなやかな生麩

さて、生麩です。

20年前は生麩といっても割とどんなものかピンとこない方がほとんどだったと思いますが、今ではかなり認知度が上がりましたよね。

お味噌汁などに入っているお麩は乾いたカスカスのパンのようで長期保存ができる食材ですが、生麩はフレッシュさが売りのせいぜい一週間くらいしか保たないお餅に似た食感が特徴です。お餅のようにぎゅーんと伸びたりはしませんが、噛み締めると小麦グルテンならではのほんのりと柔らかい甘みがあり、もちもちとした弾力は生麩にしかない食感で、特に女性で生麩が好きじゃないという人に会ったことがないくらい好かれている食材です。

元々は精進料理の素材としてできたようですが、今ではすっかり京都の懐石料理などでも白みそ仕立ての汁椀の椀種として欠かせません。

素材そのものは個性が強い味ではないので、割とどんな味付けにもうまく馴染んでくれて便利です。

調理法はさっと湯通し、茹でる、焼く、煮る、揚げるとなんでもこい。味付けもスタンダードなお味噌をつけて食べる田楽はもちろん、先に揚げた椀種、揚げて軽く塩につけるというシンプルなものから、揚げたり焼いたりした生麩をバルサミコ酢と少しの蜂蜜で絡めたり、チーズを乗せて焼いたりといった洋風のものまで、本当に簡単な調理で表情を変えてくれます。

おやつとしての中に小豆あんの入った麩まんじゅうも人気ですよね。

今回はシンプルな素揚げに塩胡椒ですが、生麩自体がごまを練りこんだごま麩、粟の入った粟麩、よもぎを合わせたよもぎ麩とバリエーションがあり、それぞれ少しずつ食感と味わいが違っていて楽しいです。

生麩の認知度は上がってきていますが、京都以外ではまだそれほどポピュラーな食材ではありません。なので、地方に住む友人の手土産に持っていくと結構な確率で喜ばれ、この辺りでは手に入らないと言われることも多いです。

京都だとパッと思い浮かぶだけで、「半兵衛麩」「麩嘉」「麩藤」「麩房老舗」などいくつも作り手の名前を思い浮かべることができます。

それぞれのお店で食味の特徴があるので、好みのものを探してみるのも楽しいです。

私はお肉はそれほど普段食べませんが、生麩はかなり食べている方ではないかと思います。

値段が高いという人もいますが、作るのにはかなりの手間もかかっていますし、お肉に比べれば高くないし、冷凍してもそれほど味が落ちないので割と重宝しているたんぱく源です。

しかも京都のちょっと大きなスーパーだと結構な確率で置いていて、賞味期限が近くなると安売りまでされているという。

お肉は食べ過ぎると脂で胃もたれすることもありますが、生麩はそんなこともないですしね。

こんな素敵な食材が身近にあるというのは、本当に京都に住んでいることの特典だなあと今日も美味しくごはんをいただきながらしみじみ喜びを噛み締めるのでした。