自宅ごはんを中心に、まあまあ幅広いトピックを扱うくりたです。
今回は愛用の革のブルゾンを修繕した話を少々。とはいえ、かなり長いです。
お暇な時に読み物的にお楽しみください。それほど役立つハウツーはありません・・・
大変!超お気に入りのブルゾンに大惨事!!
少なくとも10年以前に購入したもので、着心地よく色々な手持ちの服にも合わせやすく、春と秋に毎年ものすごくヘヴィに着まわしていました。
とても柔らかいラム革で、裏地がついていないからより柔らかくカジュアルに着られて、しかも日本ではなかなかないような緑の半透明の石をボタンにしているという素敵デザイン。


買った当時は香港の「上海灘(シャンハイタン)」という日本では店舗展開のない(正確にいうと10年以上前にはあったけれど、撤退して今はない)チャイナテイストのブランドが超お気に入りで、これもそのブランドのもの。
去年の春のとある日、それを着てたまたま母と電車に乗っていたところ、母が「その上着すごく破れてる。何でそんなの着てるの?」というので脱いでチェックしてみたところ、左の脇のあたりがばっくりと、本当にぱっくりという言葉がぴったりな見事な破れ具合・・・。ものすごく衝撃的でした。当時まだブログもはじめていなかったので記録写真がなくお見せできないのですが、まるで着物の袖のごとく身頃と袖が分かれていました。なぜ着る時にこんなにも破れていることに気づかなかったのか。
革のジャケットが欲しいと思いながらあまりハードなデザインが似合わないし、重たい服はNGだし・・・云々で数年間探し求めてなぜかマレーシアはクアラルンプールの空港免税店で、たまたまセールで発見した貴重な一品。
どこかノスタルジックでアジア的だけれどモダンで、フリルもついていないものの女性的なフォルム、何とも言えない奥行きのあるこげ茶色がエレガント。「革ブルゾンを買うならこれを買わずしてどれを買う!」と一目惚れでした。
以来袖を通す度に幾度となくその柔らかさと絶妙にシックな茶色の染め、アクセントとなる緑の石のボタンにうっとりしていた、そのブルゾンの見事な崩壊ぶりにめまいを覚えました。
もうこんな服とはなかなか出逢えないだろうから、長く大切にしようと思っていたのに!!!!!!
業者さんで修繕してもらうも大惨事は二度起きた・・・
破れたからといって簡単に捨ててしまう気持ちにはなれず、半年ほど寝かしておいたところ、革モノ専門の修繕をしてくれる業者さんが出張店舗していると聞き、いそいそと向かいました。
が、現物をみた業者さんは「これはもうマチに余裕がなくて縫えないので、ボンドではり合わせるのが応急措置として精一杯。どうしても縫いと比較すると弱いけれど、修理しますか?」とのコメント。
悩みましたがやはり少しでも長く着られるならばと約10,000円を支払って修繕していただきました。
その甲斐あって仕上がったブルゾンの左の脇は、一見しただけではそれとわからないほど完璧に貼り合わされていたので、すっかり満足してうきうきと家路についたものです。
ところが!今年少し暖かくなったので着てみたところ、何と二度ほどでこの写真のような状態に!!!!!!

まあまあなお金も出して直したのに、いくら縫うより弱いとは言え二回でこれとは弱すぎやろう!
悲しいやら腹が立つやら複雑な気持ちで一瞬頭の中が白くなりかけましたが、しかしやはり諦められません。かくなる上は何とか自力で直せないか?
もう一度ブルゾンの破れ箇所に目を皿のようにして観察して、業者さんの修繕跡を確認してふと思ったのは、「これ、自分で縫えるんじゃないの?」ということ。
遂にダメもとで自ら手縫いに挑戦
裂けている箇所は身頃と袖の合わせ目の約10cm強。確かに元々の縫い目自体は裂けてしまっているので縫えませんが、業者さんが裏打ちしてボンドで貼り合わせているので、破れた側は当て布で補強されている状態。
幸い私の着用感ではブルゾンはパツパツではなく少し余裕があるので、元々の縫い目よりも2〜3mm内側を縫えばしっかり留まりそう。
でもミシンで縫うのはかなり微妙な位置でテクニックが必要そうだから、雑な私には無理に思えました。
では手縫いや!
ということで、革用の手縫い針で補強の意味も込めて半返し縫いしてみました。
見えにくいですが、写真の上側のステッチがそれです。下のは元々のミシンによるステッチ。

この下の写真は元々の破れを補修してくれた業者さんが薄い革を貼り付けて補強してくれた跡で、その上から縫っています。

表を返して確認したところ、変なツレもなくうまく縫えているようです。

若干気になるとしたら袖の部分に少し、ボンドで修繕をした時の名残と見える部分が、ややつや消しになってゴワついているくらいでした。これなら着たときにちょうど隠れる位置なので、他人が見てもまず気付くまい。
ということでその後割と頻繁に着てますが、今の所縫った箇所が崩壊する様子もなく、着用感も悪くないのでこの調子ならまだあと数年は活用できそうです。本当に良かったです。心からうれしい。
最初から業者さんに頼らず自力でやれば良かったのではと当時は後悔して業者さんを恨みましたが、裏打ちの革やボンドでの貼り合わせテクニックなど得た部分もありました。
破れが発覚した時に、まず自分で縫うという案は浮かんだものの、未経験の身でちょっと気後れしてしまい、業者さんを頼ったのでした。専門家による補修が失敗に終わったことで、自分の中でダメ元でもいいやとの踏ん切りがついた、ということは事実なので、やはり失敗を通じて人は成長するのだと都合よく前向きに解釈することにしました。
今回の教訓は、一度無理と思っても諦めるな。知恵を働かせれば光明が指すこともある。です。