外食でなくても家で簡単、口福のアテ

くりたです。

今日は京都駅の近くのイオンモールで、私の大好きな食材が安かったので、自宅居酒屋としゃれこむことにしました。

本日のメニュー

・くもこのポン酢おろし、菜の花添え
・ホタルイカの酢味噌
・おあげと野菜のあんかけ

世の中が新型コロナウイルスの影響で外食を控えている人がものすごく増えているらしいですね。しかし私は元々月に一度か二度くらいしか外食しないので、いつもとペースは変わりません。
で、いつもはいわゆる晩ご飯のおかず的なものを作っていますが、今日は居酒屋メニュー!

とろり食感が気持ちもとろけさせる魅惑のくもこ

くもこは「たち」「菊子(きくこ)」「雲腸(くもわた)」などいくつか呼び方があるようですが、鱈の白子です。食べたことのある方は多いですよね。冬の味覚で、そろそろシーズンはおしまいです。

脳みそみたいでグロテスクだから気持ち悪くて食べられないという方も時々いらっしゃるようですが、私は大好きです。ごく新鮮なものは生でも食べられますが、これは加熱用なのでお酒をたらして沸騰したお鍋でささっと湯通しして、氷水で急速冷却して水気を切ります。その間に菜の花を蒸し上げてこちらもさっと冷やし、大根おろしもたっぷりと。
大根おろしはこういう料理には食感を残したいので鬼おろしというのを使います。
普通の大根おろしよりもかなり荒くすり下ろすので、通常の大根おろしはみぞれっぽいシャバシャバとした感じですが、こちらは大根のザクザクした歯応えが残ります。

こんなふうに竹でできた歯のおろし器で、もう20年近く愛用しています。ちょっと構造的には使いにくいところがあり、違うタイプのものが欲しいなと10年以上思いつつもそのまま使っているので、もしかすると駄目になるまで結局使うかもしれないなと思っています。

世の中さまざまなキッチンツールができてきていますが、この鬼おろしは竹製以外のものは見たことがありません。そこまで需要がないから目をつけないのか、何か他の理由があるのか。

けれども竹製のものを使っていると、なんとなく料理の過程にも風情を感じてうれしくなるので、プラスチックや金属で作られたものが登場しても、私は竹を愛用するような気がします。

さて、くもこですが、お皿に盛り付けてポン酢と少し柚子胡椒をのせていただきました。

冬の食べもののくもこと春のたべものの菜の花がひとつのお皿の中に収まって、なんとなく季節の移り変わりを感じます。

くもこは白子の中でも味にくせはなく、とてもやわらかくてクリーミー。食感は濃厚だけれど味は淡白という不思議な食べもの。そのかたちが雲に似ているからくもこなのかなと思いますが、この儚く口の中に消えていく感じも何だか雲のようです。

結構くもこって高級食材で量も多いので、一人暮らしで買うにはちょっとハードルが高いのですが、今日はちょうど居酒屋で頼むと出てきそうな量のパックが250円というお手頃価格だったので、発作的に買い求めてしまいました。

小さくてもうまみ抜群のほたるいかに春を感じる

ほたるいかも春の訪れを感じさせる食べものですね。小さいけれどしっかりイカの形をしていて、ぷっくりとふくれた胴体が愛らしい。これをぺたんこに潰して干した一夜干しなども、この小ささにして濃厚なうまみがあってとても美味しいですが、生のやわらかなものも絶品です。いかと言っても、他の大きないかとはあまり比べられないような存在で、小ささに見合った薄い身の食感や中のやわらかなうまみの詰まった食感など、本当に心からおいしい。

酢味噌は買った時についていた酢味噌をかけただけですが、家で西京味噌とみりん、お酒、辛子を合わせて手作りすると、より上品な味わいを楽しめるのではないかと思いますが、結構ほたるいかを買った時についてくる酢味噌は、特別甘いとか辛いとかもなく、結構よくできているので、そのまま使うことが多いです。
ほたるいかを酢味噌で食べずにパスタにしたりすることもありますが、その時使わずに余ってしまったものは、ぬたや長芋短冊など結構利用価値大です。

すべて包み込むあんかけのやさしさ

あんかけと聞くと冬を連想する方が多いかと思いますが、実は京都の人って相当なあんかけ好きで、割と年中食べている場合が多いです。特にうどんのあんかけメニューは大体の京都のうどん屋さんにはあるのではないでしょうか。

あんにかき卵を入れたけいらんうどん、とか。

大体京都でのあんかけというものは、中華料理のあんかけではなくてあんがめちゃめちゃたっぷり入っています。多分だしを食べたいからではないかと思います。お吸い物などは出汁が効いていても喉越しがよくて、さっと胃のなかに収まってしまいますが、あんかけだと熱いとハフハフしながら口の中で冷まさないと飲み込めないし、飲み込んだ後も少し口の中にあんが残っているので、何というか出汁の味をしゃぶり尽くすような感じでしょうか。

さらに京都のあんかけ料理は生姜が入っていることもあり、元々熱いものをより熱く、しかし食べたあとは生姜のさっぱり感で爽やかな印象で終わるという、よく考えると何とも複雑な楽しみを与えてくれます。

今日はくもこもほたるいかも冷たい料理なので、あんかけ料理で暖かさをプラスしました。
家の残り物処分として、おあげとキャベツとわかめです。

おあげに出汁のうまみがただでさえ染み込むというのに、さらにあんかけでこれでもかという出汁のうまみがにじみ出ます。魚も肉も卵も入っていませんが、野菜に出汁のうまみでこんなにおいしいとは、本当にあんかけ料理を考えた人はえらいです。仕上げに山椒の粉を振りかけてさらに味をキリッとさせています。

こういう料理を食べると、「ああ、和食って素晴らしいなあ。滋味とはこういうことをいうのだなあ。」としみじみします。

最近はあまりお酒を家で飲まないようにしているのですが、今日はさすがに日本酒があいすぎる献立なので、京都のお酒を。はあ、本当においしいです。