愛車(自転車)の修理で上賀茂へ
くりたです。
毎日テレビをつけるとニュースがコロナ禍ほぼ一色で、気持ちが沈みます。三月中旬まではずっとニュースを観ていましたが、ここ一週間は朝と夜に観るくらいに留めています。
劇的な状況が出現する訳でもなく、日々少しずつ悪くなる世界を確認しつつ、時間は粛々と過ぎて行きます。
今の所京都はロックダウンが必要というところまでは悪化していないように思うので、用事のある時は外出しますが、基本は家の中にいるようにしています。
先日は3ヶ月以上前に注文をしていた自転車のパーツが届いたということで、家からかなり離れた行きつけのローロサイクルワークス京都さんに、自転車に乗って出かけました。
私の愛車はBROMPTONという折り畳み自転車で、ちょうどこの4月で18年乗り続けていることになります。
京都市内なら大体雨の日も風の日も、どこへいくにもこれで出かけるので、年間4000kmくらいは乗っているかもしれません。荷台もつけているので、買った扇風機を積んだり、A4サイズ5000枚のチラシを運んだりすることもあり、まさに私にとっての”車”です。

長年乗り続けているので少しずつパーツがダメになったりするのですが、今回はこの自転車を停める時にかなり重要なリア(後輪)パーツが金属疲労で折れてしまったので、その交換です。

右側の小さい車輪のところが、なかなかしっかり折れていますね。
交換にも数日必要とのことだったので、一旦お店に預けなくてはいけません。
行きはよいよいで颯爽と自転車を漕いで上賀茂に向かいますが、帰りは自転車なしなので地下鉄を使うつもりでしたが、今のご時世なるべく密閉空間は避けた方がよいし、雨も降っていないし、ローロさんからわが家まで7kmくらいなら長い散歩と考え、歩いて帰ることにしました。
桜咲き、鴨が遊び、セイヨウカラシナも繁る、かも川

観光客の皆さんはあまり訪れることのない、結構北の方のかも川です。
川沿いには北から南まで様々な木が植えられていますが、桜はおそらく一番多くてこの時期はかも川べりを歩くだけで充分満足なお花見ができます。
私は水辺というか水がとても好きで、水面の波紋を見たり、目には見えなくとも水音を聞くと形容し難い心の深いところにすっと届くような、静かに生命が満ちているような感じとでも言いましょうか、そんな神聖さを感じます。
かも川は上流か下流かで賀茂川、鴨川と字が変わるのですが、鴨川というだけあり、年中たくさんの鴨が遊ぶ姿も見られます。川の流れとともに鴨が泳ぐことによって起こる小さな波型も心和むもののひとつです。
しかし、かも川の魅力は桜と鴨だけではありません。
木々でいえば、地名に「出町柳」があるように、柳も大きなポイントとなっていて、特に桜よりも少し早い3月上旬頃は柳の新芽が出てくる頃は、薄い黄緑色の見るからに柔らかそうな新芽が出ていて、本当にかわいらしいんですよ。
日本で柳というと、いつも風にゆらゆら揺れているのが幽霊のイメージと結びついて不吉に思われていることも多いかもしれませんが、かも川近くに住んでいると柳は愛らしい繊細な姿で春を告げてくれる存在なのです。

川の所々にある中洲や堤防の下にはセイヨウカラシナが咲き出して、鮮やかな黄色が気持ちを明るくさせてくれます。
セイヨウカラシナという名前なので西洋から来たのでしょうけれど、明治頃にはもう帰化植物になっていたようです。
今はまだチラチラと咲いているくらいですが、あと半月かひと月くらいしたら河川敷一面に黄色い絨毯のように咲き誇り、初夏の象徴のように感じるられるようになるので、そちらも毎年楽しみです。

御所は街の中の小さな森

今出川まで下ってきたら、次は少し西に移動して御所を石薬師御門から入って散策です。
狭いようで広い御所こと京都御苑。実は自然公園としての整備もされていて、御苑内には様々なプレートで御所の生態系を説明していてなかなか勉強にもなります。
迎賓館や拾翠亭などの建築物を楽しめる一方で、運動場もあり、食事を楽しめる休憩所も昨年整備、野鳥観察ができるバードパスや小川が流れていたりと、文化から自然まで広く楽しめる京都が誇る観光地兼市民の憩いの場です。
今回は自然を楽しもうということで建物にはあまり近づかず、森っぽい場所を選んでそぞろ歩き。さっそく野鳥のアオジが水辺にたくさん遊んでいて、かわいらしくチッチッと鳴いていました。思いつきで来たのですが、毎回御所にくるとオペラグラスを持ってくるべきだったと後悔します。かなり近くで観察できて楽しいんです。
バードウォッチング好きの知人は、よく観察に来ているらしいですが、ふと立ち寄っただけでも結構な種類の野鳥に出会えるのはうれしいですよね。

スマホでかなり拡大して撮影したので鮮明ではないですが、アオジです。雀よりも少し大きいくらい。
京都の野鳥は割と人馴れしているのか、かなり近いところまでやってきてくれます。この写真は2mくらい先の茂みの中にいたのを撮りました。
アオジという名ですが、嘴の下からお腹にかけてはウグイスのような緑色で、日本独特の緑色を青色の範疇に捉えているが故のネーミングかしらん。
ひとしきりアオジを観察したあとは南にある堺筋御門を目指します。
冬の花である椿(これは侘助かな?)から初夏の花であるしゃがなどが見られて、今が季節の変わり目であることがよくわかります。
冬はどうしても花の種類が少ないのですが、これからはどんどん色とりどりの花が咲いて素朴だけれど華やかな風景が広がることになります。


休憩しながら3時間ほどかけて帰ってきました。
ウォーキングの靴を履いていたわけではないので少々脚が疲れましたが、心地よい疲れと何よりも生き生きとした景色の中に身を置くと、目だけでなく音や匂いなど五感でうきうきと生きているなあという実感があって、実に月並ですが豊かな気持ちになります。
社会は大変でも地球は活動していて命は輝いているのだなあと、ポジティブな諸行無情を感じるのでした。
