自宅ごはんを中心に、まあまあ幅広いトピックを扱うくりたです。
本日は地味な献立ですが、今の時代にはむしろ貴重な、その時期でないと食べられない海の恵みについてです。
献立のポイント:春から初夏限定の楽しみ
・ホタルイカとタコの酢味噌和え、木の芽添え
・おあげのカリカリ焼き、八丁味噌とトマトのソース
・人参と春キャベツのナムルとざる寄せ豆腐

ホタルイカが市場に出回り始めると、「冬が終わったんだなあ。」と思います。
春の食べ物といえば、タケノコ、ふきのとうやたらの芽などの山菜などが代表選手ですが、海のものといえば何でしょう?
考えてみると春が旬だとしても、春しか食べられない魚というのはあまりないかもしれません。
ホタルイカは正確には魚ではないかもしれませんが、ほぼ春から初夏にかけてしかあまり見かけないのであまりにも旬な存在ということで、貴重だなと思います。
しかも北陸から山陰でしか取れないそうなので、私は関西だから毎年見かけますが、関東や四国だと市場に並ぶこと自体が少なくて召し上がったことがない方もおられるのかもしれません。
生のお刺身でいただけるホタルイカというのは関西でも珍しいのですが、ボイルしたものは割と普通にどこでも売っています。
小さな5cmほどの体長に、ぷっくり膨れた胴体が特徴的。

一番好きな食べ方は今日の献立にもある酢味噌和えですが、オイルで煮たアヒージョも良いし、パスタにしても美味しい。その小ささならではか、皮が薄くて丸ごと食べられ、噛み締めるとふんわりと柔らかく、ちょっととろける食感。丸ごと食べられるので、他のイカにはない複雑な味わいがあります。
有名な富山産は、一様に通常のものよりやや大型で、身がはち切れんばかりに丸々していて透明感があり、見るからに美味しそうです。その分お値段もなかなか。富山以外と比べると1.5から2倍くらいでしょうか。
お財布事情もあり私はシーズン中に富山産は1、2度しかいただきませんが、市場で違う産地のものと並べられていると、ラベルを見ずともどちらが富山産かわかるほど姿や色が違っています。少し場所が違うだけでどうしてこんなにも違いがあるのかと、とても不思議。
今日はホタルイカを食べるのに、同じく春先にしかほぼ見かけない木の芽添え。レアな旬の競演にしてみました。ぴりっと辛い酢味噌に、木の芽という別のベクトルの辛みがアクセントになっています。
旬を失いがちな私たちの身体
しかし、今日の献立の中で旬にしか食べられない食材といえば、このホタルイカと木の芽くらいですね。
昔は保存技術や輸送手段が限られていたので、野菜も果物も魚も旬のものしか食べられないことが普通だったのに、今や旬のものを食べることが贅沢に感じられることも多いとは、価値観は本当に時代によって変わっていくものなのだなあと、ちょっと遠い目で考えてみたりします。
その時期のものを食べるというのは、季節に合った食材を食べるというごくごく当たり前の行為ですが、そこには色々な意味が含まれていて、身体の調子を整えたりといった役目もあると聞きます。
でも今は技術の発達で、年中春野菜が食べられたり、私たちの住む環境と全く違う世界中の海からやってきた魚を普通に食べていたりして、とても便利な反面、身体自体が純粋さを失っているのかもしれませんね。
そんな中でいただく旬の味。これからもきちんと味わっていきたいものです。