カレー原理主義者、異端に足を踏み入れる

自宅ごはんを中心に、まあまあ幅広いトピックを扱うくりたです。

久々の記事ですが、今日はシンプルです。

カレーうどん。

大好きな方も多いですが、私にとっては長らく禁断の食べ物でした。

初めて食べたのは今から5年ほど前のことです。それまではいかに友人が薦めようととも、カレーうどんを求めて行列をなすお店があろうとも、頑なに食べることを拒否していたからです。

なぜなら私はカレー原理主義者だったから。

カレー原理主義とはなんぞやと思われる方も多いかもしれません。それはそうです。単に私が自分で称しているに過ぎない呼称です。その定義は、「カレーとはすなわちご飯とセットで食べるカレーライスのことなり。あらゆる食べ物にカレー粉を用いる日本にあって、カレーうどん、カレーパン、カレーせんべいなどは邪道として認めない。」というものです。

あまり食にタブーを設けることなく、平均的日本人が食べることをためらうような変わった食材に次々と挑戦し続けている私ですが、カレーにだけはなぜかストイックな姿勢を貫いてきました。「カレーパンを食べないなんて、人生半分損してる。」と言われようとも、生まれてこの方数十年原理主義を貫いてきたのです。今更趣旨がえするなんてアイデンティティの崩壊とまで思っていた節があります。

それが何故カレーうどんを食べることになったのか。

理由なきこだわりは捨てよ。精神よ、自由であれ!

ある日思いました。私のこのこだわりは何かと。幼少時に腐ったカレーを食べて吐いたとか、近所のいじめっ子にカレーをかけられた、とか、そんなトラウマになりそうなネガティブメモリーは一切ありません。多分。記憶している限りは。家のカレーしか食べられないという訳ではなく、Coco壱番屋でもサンマルコでもごく稀に食べることもあります。なのに何故私はカレー原理主義者なのかと、逆に原理主義者であることにふと疑問を持ってしまったのです。

考え始めると止まりません。矜持なき原理主義者であることの方が恥ずかしいことのように思いつつも、今まで公言して憚らなかったものを趣旨替えすることも己の主義の弱さの露呈のようではないか?と、さまざまな思いが胸に去来します。いや、実は他人にとっては意味のわからない迷いだとは思うのですが、本人にとっては大問題だったのです。

そうしてしばらく自問自答した挙句達した結論は、「まず体験せよ。」でした。体験することでやはりカレーはカレーライスだと思うのであれば自分でも納得が行くし、これからも堂々と原理主義者を標榜することができるし、やっぱり人生半分損していたと思うほどのおいしさであれば、これからの人生をより豊かにできるであろうと思ったのです。

まず原理主義からの逸脱としてチョイスしたのはカレーパンでした。カレーパンがおいしいという評判のパン屋さんで求めて食べてみました。結論としては人生半分損しているというほどの破壊力は残念ながらありませんでしたが、思ったよりもすんなり受け入れられる味で、これはこれでありかなと。そこを起点にさまざまなカレー料理やお菓子にも手を出すようになりました。原理主義を貫くこともできましたが、看板を下ろすことで意味のないこだわりを捨てて、より自由に食に対して向き合うことができるようになったと思っています(大げさ)。

とろみづけ発想の妙

そこで再びカレーうどん。

これは人生初の手作りカレーうどんです。

たまたま出来上がったカレーをたくさんいただく機会があり、そんなにカレーライスばかり食べるのもなあと思い、今までカレーうどんといえば外食ばかりだったけれど、家で作っても良いのではないかなと。

ちょうど同じ時にこれも大量に一番出汁をいただいたので、それと合わせることにしました。

通常のカレーうどんはおあげとネギが入っていることが多いですが、今日はきのこを中心に、緑のものはツルムラサキを入れることにしました。

一番出汁にお酒、塩、みりん、お醤油でいつものうどんのつゆよりも薄味で調味した後、カレーを投入し、水溶き片栗粉でとろみを出してできあがり。

なかなか簡単でしたが、おいしくできました。

カレーうどんはこのとろみが需要ですね。

カレーライスだとスプーンで食べるので、ご飯の一粒一粒とカレーをうまい具合に一緒にして食べることができます。でもうどんとなるともちろんうどんつゆにカレールーを入れただけでも麺には絡むものの、うどんの表面に少しカレー味がついたという風にしかなりません。

それを水溶き片栗粉でとろみを出すことで、より一本一本のうどんにたくさんのカレーが絡むことになり、口に運んだ時にうどんとカレーのバランスがうまく取れるようになっている仕組みです。元々の発祥時点でとろみがついていたかどうかはわかりませんが、とろみづけはカレーうどんを全国の人気メニューとして広めるために必要な条件だったのではないか、と思えるくらい大切なポイントだなと思います。

家でも結構手軽にカレーうどんが作れるということがわかったので、今度家でカレーを作ることがあれば、そのバリエーションとしてまた作ってみようと思います。

次は王道のおあげとネギ入りで!とようけ屋山本さんのおあげを入れたらさぞかし汁を存分に含んだジューシーなカレーうどんになることでしょう。楽しみ、楽しみ。

おまけ:みょうがの甘酢漬

カレーうどんのおともにみょうがの甘酢漬を添えました。

きれいなピンク色です。

みょうがは実家の母が裏庭でちょこっとみょうがを栽培していて、薬味だけでは消費し切れないし日持ちもしないので、漬物に。

これもかなり簡単にできるのですが、さわやかでおいしい。

沸騰したたっぷりのお湯に少しだけ塩を入れて、みょうがをさっと茹で、あらかじめ米酢と砂糖とちょっぴりの効き塩を入れた漬け汁に入れるだけ。半日くらいで食べられるようになります。漬けた汁は甘くてみょうがのエキスも少しでてきれいなピンク色なので、私はこれを炭酸で割って飲んだりしています。そうすると無駄なく全部いただけるので。

カレーライスに福神漬は永遠の定番の組み合わせですが、カレーうどんにみょうがの甘酢漬も良いですよ。カレーがスパイシーなので、少し甘味を感じるようなものが付け合わせとして相性が良いのかもしれません。