異色の唐揚げ。冷えてる時しかおいしくない。
自宅ごはんを中心に、まあまあ幅広いトピックを扱うくりたです。

本日のメニュー
・冷やして食べる唐揚げ ・レンコンと昆布の炒め物 ・炊き合わせ
彩りは割ときれいですが、全体的に地味なメニューです。
特に主役というおかずはなく、割とどれもすぐに片付けないといけない理由のある食材が多かったです。
まずは冷やして食べる唐揚げです。
世間的にメジャーなのかどうかよくわかりませんが、福岡に行ったら必ず買ってしまうお土産、努努鶏の冷やして食べる唐揚げ。

他のメーカーでも類似品はあるようですが、一応ここが元祖と書いてあるのでアイデア自体はこちらのオリジナルなのかもしれません。
手羽中の唐揚げに甘辛のタレを絡ませて白ゴマが振ってあります。

注意書きにかなり強調して「決して温めて食べないでください。」とあります。
店頭では冷凍で売られていて、食べる10分くらい前に出して加工せずにそのまま食べるというお手軽スナックのような唐揚げです。
最初はほんまにおいしいんかいなと半信半疑でしたが、これが案外いけるんです。唐揚げの外側の部分が割と歯ごたえがあり、揚げたてのカリカリ感はもちろんありませんが、何というか大学芋のカリッと感的な気になってまた食べたくなるような独特食感。冷たくて硬い鶏肉も”うまずい(「うまい」と「まずい」を掛け合わせた私の造語です。本来おいしいものでないように思うのに、何だか癖になる味わいの時に使ってます。)。ビールやハイボールなどの軽いお酒をいただく時にぴったりです。
最初に買った時にものは試しと一つだけ温めて見ましたところ、やはり注意書きは本当だったというまずさで、唐揚げの脂っこさが強調されて気持ち悪い感じでした。決して温めて食べてはいけません!!!
発祥は多分唐揚げに甘辛タレ絡めた料理が食べ残ったので冷蔵庫に入れたけど、翌日温めるのが面倒でそのまま食べてみたら今までにないおいしさを発見。冷やして食べた時においしい状態を研究して商品にした、的なことではないかと想像しますが、真相はそうであろうがなかろうが関係なく、大切なことは「冷やした状態がもっともおいしい唐揚げが存在する」ということです。
しょっちゅう食べたい、という感じでもないのですが、時々食べたいなあと思うあと引く不思議な唐揚げ。世間は唐揚げが空前のブームというか、すでにブームではなく全国的な人気メニューになっていますが、その中でも異色の存在。まだ食べたことのない方は、ぜひ福岡など九州方面に行かれたらお試しください。
だしを取った後の昆布の一つの活用法
レンコンと昆布の炒め物は、レンコンが買ってからかなり日が経ってしまって怪しい感じだったので、とにかくたくさんレンコン食べないと!という切羽詰まった理由と、日常的に昆布と鰹節で出汁をひいているのでどんどこ出汁を取った昆布が出るので、捨てるのももったいなくて何とか大量に食べられないか日々考えていた結果として生まれたメニューです。

よって、この料理に必要なものは新しい昆布を戻すことではなく、出汁を取った後の昆布です。
レンコンを油で炒めて火が通って半透明になってきたところで短冊に切った昆布を大量に入れてさっと混ぜ合わせ、そこにポン酢を入れて炒り付け、仕上げにささっと炒りごまをまぶして出来上がりという簡単メニューです。シャクシャクとしたレンコンの歯ごたえと出汁がらとはいえ、まだまだうま味たっぷりの昆布で滋味あるきんぴらの出来上がりです。前にもポン酢の炒め物はご紹介しましたが、結構調理に使える調味料なので色々試してみてくださいね。
昆布といえば、今日本の昆布がかなり危機的な状況に実はなっているらしいです。
その昔は北海道で大量の昆布を海岸で引き上げているイメージがありましたが、現代は出汁を自分でひいている人が圧倒的に少なくなり、消費量も当時に比べて激減しているそうです。
昆布漁師が高齢化で減っているということもありますが、そもそも消費量が落ちているので今から新規に昆布漁に手を付けるメリットがないということもあり、数十年後にどれくらい日本で昆布漁が成り立つかがわからないという人もいるようです。
その昔沖縄と本州では昆布が貨幣のような存在として使われ、砂糖や漢方薬と昆布の交換によって沖縄では昆布が取れないにも関わらず昆布料理が多いという文化が育まれたりしましたが、そのようなことは遠い昔のことなんですね。
和食がユネスコ無形文化遺産に選定されましたが、無形文化遺産に登録されるということは”危機に瀕した文化”を保護するために、お墨付きをつけるという意味合いが強いものですから、世界で和食ブームと言っても肝心な日本で和食が衰退していることの表れでもあるのですよね。和食に欠かせない食材である昆布漁が危機というのもむべなるかなというところかもしれません。
でもみんながどんどん昆布を消費して需要が増えていけば、そこに目をつけてビジネスを始めようという機運も生まれる可能性があります。私が生きているうちにどんな変化が起きるかは全く予想がつきませんが、コンソメよりも昆布やカツオ出汁を愛する私としては、個人でできることとしてじゃんじゃん昆布を使うというのは最低限のミッションであるように感じます。

日頃はこんな感じでジャーに昆布を入れて水を注いで冷蔵庫に入れています。昆布の出汁が溶け出た昆布水ができるので、出汁をとる時にわざわざ昆布を水につけておくという手間も省けて、水の代わりにこの昆布水を飲んだりもします。出汁を飲むなんて気持ち悪いと思う方もおられるかもしれませんが、ほんのりとした塩気と昆布のうま味がでた昆布水は案外おいしいものですよ。
ほっこりする野菜のうま味の炊き合わせ

炊き合わせは懐石や和食のコースの中でよく登場する定番中の定番です。
こちらはお店でもなくコースで提供するようなものでもない、ごくごく日常的なあっさり煮物。冷蔵庫にあった適当な野菜に、ちょうど買ってきていた生麩があったので、合わせて作ってみました。
作るといっても昆布とカツオの一番出汁に塩とお醤油、お酒と少しのみりんで味を整えたものに、野菜を入れて軽く煮るだけなので簡単です。ポイントとしては材料を一気に入れてしまうのでなしに、火の通りにくい野菜から入れていくということでしょうか。きのこは出汁が出るので最初から入れます。今回はブラウンマッシュルームがあったので、えのきと共に投入。マッシュルームは洋のきのこなのに?と思われるかもしれませんが、全然問題ありません。あまり洋だから和だからとこだわらずにいろんな食材を扱って良いのではないかと思います。
冷やして食べる唐揚げはしっかり味があるし、レンコンと昆布の炒め物もしっかりポン酢風味なので、こちらは本当に野菜の味を感じるくらいの薄味です。生麩も煮すぎると膨らんで気の抜けた味になってしまいますが、さっと火を入れるくらいの加減にすると、グルテンの甘みがふんわり感じられておいしいですよ。仕上げにはゆずの皮をのせました。本当はこんなにたくさんのせることはないのですが、まあたくさんあるのでということで。