自宅ごはんを中心に、まあまあ幅広いトピックを扱うくりたです。
ベトナムは第二のふるさと料理のようなもの

本日のメニュー
・バインセオ(ベトナム風お好み焼) ・厚揚げの香味野菜フレークのせ ・カインチュア風スープ
今日はベトナム料理ですが、ベトナム料理も生春巻やフォーといった一部のメニューはすっかり日本に定着した感がありますね。
私は割とベトナムと縁が深くて、初めての旅行は1996年です。子供の頃はベトナムといえばベトナム戦争終結後の混乱の中で難民としてボートピープルという通称で、世界中に小さな船で流れ着く人たちの様子が連日新聞を賑わせていました。中学生の時の教科書の中でもハイパーインフレで買い物に行くためにリヤカーいっぱいにお札を積んでいる写真などが印象に残っています。
日本ではアメリカが南ベトナムに散布した枯葉剤の影響でシャム双生児として生まれた双子のベトちゃん、ドクちゃんの分離手術が行われるなどのニュースも連日大きく取り上げられていて、ベトナムといえば苦難の国、というイメージでしたが、それほどベトナム自体に強く惹かれていたわけではありませんでした。
大学卒業後ふと目にしたニュースで、1986年にベトナム政府がそれまでの方針を大転換。共産主義一辺倒から市場を開放して商業主義を取り入れ、急速な発展を遂げていることを知り、そんな国をぜひ自分の目で直接見てみたい!と思い、ひとり旅に挑戦したのです。
その時の旅行の印象というのはとても鮮やかですが、ここでその話を始めるときりがなくなってしまうので留めておきます。
当時の日本ではベトナム料理店自体がかなり珍しい存在だったので、まともに食べたのは旅行に行った時でしたが、一週間の滞在で食べる料理がどれも素晴らしくおいしくて大感激し、ベトナム料理の大ファンになりました。
そんなにしょっちゅう作るわけではないけれど、時々無性に食べたくなります。もしもこれから一生日本食が食べられないとして、どの国の料理を選ぶかと言われたら迷わずベトナムと答えられるくらい、私の中では第二のふるさとの味のような存在です。
油たっぷりでもあっさり、野菜がおいしいバインセオ

バインセオはベトナム旅行に行く日本人が、一度は必ず食べる料理だと思います。
ちょっと今回の料理では皮が小さくなってしまいましたが、米粉とターメリック、ココナツミルクなどでできた、表面がパリパリ、中がモチモチの皮の中に、もやしや玉ねぎ、エビや豚肉が入った、ちょっと広島のお好み焼に似た料理です。食べるときは写真の左にあるように大きな葉物野菜で包んで、ヌクチャムというつけダレをつけていただきます。野菜がとにかくたくさん入っているので、バインセオ自体はかなり揚げ焼きと言っても良いくらい油を使うのですけれど、食感としてはあっさりします。ベトナムではこういう出来あがった料理を葉で包むという食べ方をする料理がかなりたくさんあって、そういうところもあっさりしたものを好む日本人の味覚に合う要因だなと思います。
バインセオは一応ベトナム本土にあるようですが本場は南部。ベトナム最大の商業都市ホーチミンにはバインセオ専門店がたくさんあって、直径30cm以上ありそうな巨大バインセオがどどーんと出てくるのです。ベトナム中部のダナンでもバインセオは名物なのですが、こちらは少し南部のものとは違っています。私はややダナンのものの方が好みではありますが、ホーチミンのバインセオも大好きで時々無性に食べたくなります。
カルディ・コーヒーファームのバインセオキットの粉が優秀なのでそれを使いますが、付属のつけダレのヌクチャムは私の口には合わないので自分で作ります。付属のタレはかなり甘いんですよね。料理は北部よりも南部の方が断然甘い味が濃くなるのでこういう味のヌクチャムを出すお店もあるのかもしれませんが、すっきりと食べたいのでヌクチャムは簡単だし、自分で作ります。水にヌクマムというベトナムのカタクチイワシを発酵させて作った魚醤に、レモン汁と唐辛子、砂糖、黒胡椒を入れるのが基本。バインセオ以外にもヌクチャムはあらゆるベトナム料理に使える卓上調味料なのです。茹でた野菜をつけて食べたり、他の色々な料理に少しつけたりと、日本のお醤油よりもさらに利用範囲が広い感じです。
さくさくおいしい厚揚げの新鮮な食べ方

厚揚げの香味野菜フレークのせも、ベトナムではとてもポピュラーな料理です。
厚揚げってベトナムにもあるの?と結構驚かれる方が多いのですが、お豆腐は日本や中国以外に東南アジアでも結構食べられているので厚揚げ料理も各地にあります。
この料理は簡単だけれど意外なおいしさでくせになります。
暖かいカリカリの厚揚げに、レモングラス、生姜、にんにくのみじん切りをカラッと揚げて、さくさくのフレーク上にしたものに少し味をつけてたっぷりとのせます。
レモングラスはそのままだと硬くて香りづけにしか使えないハーブですが、みじん切りにして揚げるとふわっとしたレモンに似た柑橘系の爽やかな香りを残しつつ、クリスピーで食べやすくなるのです。
なんてことはない料理なのですが、多分食べるとファンになる人続出かなと思える料理です。
酸っぱいけれど優しいスープ

スープは実際こういう料理がベトナムにあるわけではなく、完全に私の適当なレシピです。
何種類かの野菜を切って茹でて、ヌクマムと酢で味をつけて黒胡椒で整える。それだけです。
酸味を出したいので必ずトマトを入れるのがキモです。それだけでは酸味が足りないので酢や他のベトナム食材を使ったりするのですが、トマトは欠かせません。
スープはヌクマムが魚醤なのでそれだけで十分なうまみがあり、他に出汁を取る必要もなくて、本当にあっという間にできてしまいます。このスープ系はヌクマムの長所がとてもよく出た調理法だと思います。野菜もトマトさえ入れれば何を入れても良いし、かき卵を入れてみたり、鶏肉を入れてみたりとアレンジも自由自在で本当に簡単なので、ぜひ色んな人にも挑戦してもらいたいです。
ベトナム料理は割とこういうなんてことはないけれど印象に残って美味しいという料理がたくさんあります。中華料理にもタイ料理にもないベトナム料理ならではの野菜とハーブとお肉や魚介類などの組み合わせで、実に繊細なハーモニーが私をはじめ、多くの人をとりこにするんですね。